署名押印残滓の不思議
立法ミスか、今後とも必要な規定なのか
法人税法や地方税法などの代表者署名押印義務付けの規定は今年の税制改正で削除されましたが、税理士法をみると、税理士が代理委任を受けて税務申告書等を作成するときは、相変わらず、委任者は署名押印しなければならない、と定めています。
法律間に齟齬が生じているのですから、どちらが特別法かを判定し、税理士法が特別法だとすると、相変わらず署名押印制度は存続していることになります。
改正し忘れたのでしょうか。それとも、税目に限定されず、法人税のみならず、所得税でも、消費税でも、相続税でも、贈与税でも、地方税でも、・・・・みんななので、残滓は意図的なことなのでしょうか。
電子申告の場合の税理士関与
行政手続オンライン化法の下では、法令上署名押印を求められているとしても、電子申告をするのであれば、識別番号の取得や電子署名がその署名押印の代替行為になるとともに、税理士関与の場合には、税理士以外の電子署名を要しない、としています。電子申告時は、法律間の齟齬解消です。
行政手続オンライン化法との関係
大法人の場合、平成32年4月期以後の申告は電子申告義務付けとなりました。
この義務付け大法人については行政手続オンライン化法第三条の適用なし、としています。税理士代理送信の大臣告示はこの第三条を承けてのものなので、この適用もないことになるはずです。
立法ミスか、解釈の余地があるのか
ところが、国税庁ホームページのQ&Aでは、大法人が税理士に委任する場合には、税理士代理送信の大臣告示の適用可としています。
でも、法律の建て付けからはそのようには解せないので、立法ミスだったのかも知れません。
電子申告業者としての税理士なのか
Q&Aの文面からは、作成済みの申告書を電子データに換えて電子申告送信のみを税理士に委任することを想定し、その場合は、委任者の電子署名は不要なはずだ、と解しているようにも見受けられます。
代理送信は、申告書の郵便配達と同じ社会的機能なので、税理士の専業ではなく、他に当局が認める電子申告業者が生まれる余地あり、とのニュアンスも感じます。